書いて、話して、思い出を紡ぐ。地域の自分史・思い出ノート交流会で、新しい発見と温かい交流を
ふと、自分の人生を振り返る時間
時間に少しゆとりが生まれる中で、ふとご自身の人生を振り返ることはありませんか。「あの頃はあんなことがあったな」「あの出来事は、今思えば大切な経験だった」など、心の中にしまっておいた思い出がよみがえることもあるかもしれません。
そんな大切な思い出や、ご自身の歩んできた道のりを、少しずつ形に残してみる――それは、過去の自分と向き合い、今の自分をより深く理解することにもつながります。そして、それを誰かと分かち合う時間を持つことで、心温まるつながりや、新しい発見が生まれることがあります。
今回は、そんな素敵な時間を地域で過ごせるかもしれない「自分史・思い出ノート交流会」についてご紹介いたします。
「自分史・思い出ノート」って、難しく考える必要はありません
「自分史」や「思い出ノート」と聞くと、なんだか立派な文章を書かなければいけない、特別な経験をした人だけが書くもの、と思われるかもしれません。しかし、そんなことは全くありません。
これは、ご自身の心に残っている出来事や、大切にしている思いを、日記のように、あるいは箇条書きのように、気負わずに自由に書き留めるものです。子どもの頃の遊び、学生時代の友人、仕事での苦労や喜び、家族との思い出、旅行での出来事、大切にしている趣味のこと…。どんな些細なことでも、あなたにとってはかけがえのない大切な一コマです。
文章にするのが難しければ、単語だけでも、絵を描いてみても良いのです。大切なのは、ご自身の心の中にあるものを外に出してみること。そうすることで、頭の中が整理され、心の穏やかさを取り戻せることもあるでしょう。
地域の「自分史・思い出ノート交流会」はどんな場所?
このような交流会は、地域の公民館の一室や、福祉施設の一角などで、数人から十数人程度の少人数で開催されることが多いようです。
集まった皆さんは、それぞれご自身のペースで、思い思いにノートに書き進めます。静かな時間が流れる中で、ペンを走らせる音だけが響くこともあれば、書きながらふと浮かんだことを、隣の人とぽつりと話し合うこともあるでしょう。
会の時間の中には、希望する方が、書いたものの一部を読み上げたり、書いている中で思い出したり気づいたりしたことを皆に話したりする時間がある場合もあります。無理に発表する必要はありません。他の人の話を聞いているだけでも、きっと心に響くものや、ご自身の思い出が刺激されることがあるはずです。
交流会で得られる心温まる時間と発見
このような交流会に参加することで、あなたは以下のような温かい時間や新しい発見を得られるかもしれません。
- 集中して自分と向き合う時間: 誰かがそばにいる安心感の中で、一人ではなかなか続かない「書く」という作業に集中できます。
- 他の人の人生に触れる: 参加者それぞれの歩んできた道や価値観に触れることで、共感したり、新しい視点を得たりすることができます。
- 話すことで心が軽くなる: 書いたことや、それにまつわる思い出を誰かに聞いてもらうことで、心が整理され、温かい気持ちになれます。
- 忘れていた思い出との再会: 他の人の話を聞く中で、「そういえば、あんなこともあったな」と、すっかり忘れていた大切な出来事を思い出すことがあります。
- 「書く」ことの楽しさの発見: 上手い下手ではなく、自分の思いを文字にする、記録に残すことそのものに楽しさや充実感を見いだせるかもしれません。
【参加された方の声(架空)】
- 「最初は書くなんて柄じゃないと思っていましたが、皆さん和やかな雰囲気で、私も少しずつ書き始めました。子どもの頃のいたずらを思い出して、思わず一人で笑ってしまいました。皆さんの話を聞くのも楽しくて、来るのが楽しみになりましたよ。」(A様・70代)
- 「妻が亡くなってから、一人で家にいる時間が増え、昔のことばかり考えて塞ぎがちでした。この会に来て、自分の人生を文字にしてみると、決して悪いことばかりじゃなかったと気づかされました。皆さんが『大変でしたね』『素敵な思い出ですね』と声をかけてくれるのが、何より嬉しかったです。」(B様・80代)
- 「ここで書いている時間は、まるで自分だけの宝物を整理しているようです。無理に話さなくても良いので気が楽ですし、皆さんの優しい雰囲気に癒やされています。書き溜めたノートは、孫に見せてあげたいなと思っています。」(C様・70代)
参加するにはどうしたら良いの?
もし、お住まいの地域でこのような「自分史・思い出ノート交流会」が開催されているか知りたい、または参加してみたいと思われたら、まずは地域の以下の窓口に問い合わせてみることをお勧めいたします。
- 地域包括支援センター
- お住まいの市区町村の福祉課や高齢者支援課
- 社会福祉協議会
- 公民館や地区センター
これらの窓口では、地域で行われている様々な高齢者向けの活動に関する情報を持っています。「自分史や思い出を書くような集まりはありませんか?」と、電話で気軽に尋ねてみてください。きっと、担当の方が丁寧に教えてくださるはずです。
参加を申し込む際には、電話で名前と連絡先を伝えれば良い場合がほとんどです。インターネットが苦手でも、安心して問い合わせてみてください。
持ち物について:筆記用具と、お気に入りのノートを一冊持ってきてもらえれば大丈夫、という場合が多いです。もしなければ、初回は貸し出しがあったり、簡単なノートを用意していたりすることもありますので、事前に問い合わせて確認してみましょう。
場所と日時:場所は地域の集会所など、時間帯はお昼過ぎの数時間で開催されることが多いようです。電話で問い合わせる際に、詳しく確認してください。
費用:参加費は無料、あるいは資料代やお茶代として数百円程度の実費がかかる場合があります。
まずは、心の中の「一コマ」を書き出してみませんか
新しい場所に行くのは、誰でも少し勇気がいるものです。でも、この「自分史・思い出ノート交流会」は、静かな時間と、温かい人とのつながりが心地よい場所です。
まずは、ご自宅でノートを一冊用意して、心に浮かんだ思い出を一つだけ、一行だけでも書き出してみてはいかがでしょうか。そして、「もう少し書いてみたいな」「誰かに話してみても良いかな」と思われたら、地域の窓口に電話して、交流会のことを尋ねてみてください。
あなたの人生という素晴らしい物語を振り返り、心豊かな時間を過ごすための一歩を、この交流会で見つけていただけたら嬉しく思います。
まとめ
地域の「自分史・思い出ノート交流会」は、ご自身の人生を振り返り、書き留めることを通じて、心穏やかな時間と温かい人とのつながりを得られる場所です。
難しく考えず、まずは気楽に書き始めることから。そして、地域の交流会に少しだけ勇気を出して参加してみることで、きっとあなたのセカンドライフに、新しい発見と心満たされる時間が生まれるはずです。
地域の窓口に問い合わせて、あなたの街の活動について聞いてみてください。温かい場所が、あなたを待っているかもしれません。